大阪府知事が、国からの請求書を「ぼったくりバー」と言ったのは、まだ記憶に新しい。

 なぜ知事が不信感を持ったかというと、

 請求書が総額のみで、その金額になる理由を説明する「内訳(=明細)」が無かったからである。

 建物を建てるときでも、施工会社の見積もりが見積もり総額だけしか書いていなければ、

 そんな会社に依頼してはいけない、とは業界の常識。

 知事が頭にくるのも当然の感覚、と思うのだが。

 

 さて、そこで強引に建物の話。

 毎度の事で恐縮だが、設計屋は「設計料って高い!」と言われる。

 安いモノとは思っていないが、設計料という「明細」がはっきりするだけで、

 なんでこんなに「払いたくない」と多くのヒトが思うのか不思議だったのだが、

 様々な商品を思い浮かべて、やっと気が付いた。

 世の中に「明細」を表示した商品など存在しないのだ。

 

 ハウスメーカーの話は以前に書いたが、それだけではない。

 たとえば車。数百万の商品であるにもかかわらず、車体の原価を知っている人は皆無。

 値段の中の、どれだけが開発費なのか、どれだけが宣伝費なのか、

 何台売れれば元がとれる値段設定なのか全く知らない状態で、数百万の買い物を世界中でしているのである。

 その他も、服飾、宝飾品、食料品、電化製品から携帯電話の通話料まで、すべて「明細」は闇の中。

 

 だから、設計料として「明細」をハッキリさせるだけで「高い!」と敬遠されることになる。

 逆に言うと、それを知っているからこそ、どの業界も「明細」を付けない「ぼったくりバー」状態になり、

 また買う方も、買うモノの原価以外のコストがどの程度なのか、全く解らないって状態になっているワケだ。

 それが常識の世の中で、設計料だけでもオープンにする設計屋、なかなか良心的な商売ではアリマセンカ。

 ・・・と、世間の皆様が思って下さる日は来るのだろうか、知事さん?(笑)

 

建築家の特徴vol3
要望通り