ハウスメーカーであれ、大工さん・工務店さんであれ、設計屋であれ、

 「ミスをする」という真実を書いているが、

 当然、建て主さんにとっては不安な気持ちになることと推察。

 なので、その点を少しフォローしたい。

 建て主さんにとっては、どんなミスでもイヤなモンだとは思うが、

 一番心配なミスは、耐震性に関することではないだろうか(と、決めつける)。

 まずは、この心配を解きたいと思う。

 

 人間が使う基準は、「人間はミスをする生き物である」ということを前提に作られるべきモノ。

 まったくミスを想定しない、ロボットしか出来ないような基準は、それ自体がナンセンス。

 車のハンドルのように「遊び(余裕)がある」ことが、「人間が使う」ことの前提条件である。

 

 そこで、法律がどういうスタンスで作られているか、ということになるワケだが、

 理屈より実際の大地震に対してどうだったかを見てみるのが現実的。

 お役所も、大地震の度に、自分たちの作った基準の結果が、どの程度の性能があるかを確認している。

 

 木造住宅の被害が大きかった阪神大震災ですら、

 被災住宅の大半が古い基準で建てられた建物、というのが最終報告。

 つまり、今の基準で「ミスをする生き物」が作った建物は、法律が定めている性能があったのだ。

 ということは、今の基準、つまり法律は、

 真面目にやっていても見落とす程度のミスはカバーするだけの余裕がある、ということになる。

 

 そこまで解っていながら、「それでも不確定要素は無くならない(絶対無くなりません)」と、

 くそ真面目な設計屋は、技術力と倫理観などにしたがって、

 建て主さんのコスト負担のバランスを考えながら、さらなる独自の基準を持って設計し、

 その上、小さなミスすら減らす為に、職人さん任せにせずに現場でチェックする。

 (行政・施工者・設計屋のトリプルチェック。まぁ行政のチェックは、せいぜい0.・・・イヤソノ)

 ミスをする生き物だからこそ、これだけのセイフティネットを掛けるのである。

 

 問題は、3つめのセイフティネットに掛かる費用(設計監理費)を受け入れてもらえるかどうか・・・

 

機械の限界
ゲリラ