「高断熱」が大人気である。
それはよいのだが「この会社は高断熱だから決めた」などといったご意見を伺うと、不思議な気分になる。
高断熱なんていうものは、大雑把に言うと断熱材の厚みだけの話だから、なにも悩むことなく出来ること。
特別な技術でもないし、設計屋なら多分誰でも出来ることで、単にお金が掛かるだけの話。
何かを決定する理由になるほどのモンじゃないと思うワケ。
ブームのせいか、最近はテレビで断熱材のコマーシャルが流れるようになった。
見事にコマーシャル菌に感染し「あの断熱材を入れたい!」とのご希望になるワケだが、
断熱性能は素材だけじゃなく、「素材×厚み」で決まるのである。
性能10の断熱材5cmと、性能5の断熱材10cmは同じ性能になる。
アルコール度数20%の焼酎をコップ2杯と、40%のバーボンをコップ1杯飲むのとでは、
酔っぱらい方が一緒なのと同じ(だと思う)。
欲しい性能はかけ算した後の数字なのだから、素材だけにこだわったって仕方がない。
ところで、高断熱にしたら年中常春の夢のような家になると思ってないですかね。
少々厚くしたぐらいじゃ、朝出かけて一日労働に勤しみ夜帰ってきた時には家中ヒンヤリってのは変わらない。
断熱材ってのは暖かくなるのではなく、冷える早さがゆっくりになるってだけで、
暖かくするには、やっぱり暖めるモノが必要。
マンションと比べて一軒家の方が寒いのは、
壁が断熱材しかない状態と、お隣さんという暖かいモノがある差である。
お隣さんの夫婦仲が冷え切っていても関係ない。ストーブがあれば良いのだ。
上下左右から暖めてくれるのだから、暖かいのは当たり前。
断熱材を入れる理由は、結露対策と暖房・冷房の効率を良くする為だ。
大切な事ではあるのだが、高断熱にした家を調査するとあんまり省エネになっていない。
理由は、部屋が広くなったのと、昔より部屋の温度を上げるからである。
6畳の茶の間で家族四人がコタツに足を突っ込んでミカンを食っているのと、
20畳のリビングにソファー並べて、Tシャツ姿で紅茶など喫しているのとでは、そりゃ違うってわけ。
断熱材を厚くするのは省エネには違いないんだが、使う電気量が減る訳でもなければ電気代が下がる訳でもない。
二酸化炭素を減らさなきゃって言ってる時代の省エネじゃないと思うワケだが、
私ももうちょっと広い仕事場が欲しい・・・
情報の読み方
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高気密のウラオモテ
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