「高断熱」と言えば、合わせて出てくる言葉が「高気密」。

 この言葉に何となく性能の高さを感じるのか、一般のヒトに受けが良いようである。

 根拠はないが、一般の方の「高気密」のイメージは「すきま風がない」ってだけな気がする。

 そんなもん、今どき普通に作るだけで無くなるのだが。

 

 「高気密住宅」は、極端に言うと宇宙ステーションである。

 事実、高気密で換気がなされていない住宅では、薪ストーブがまともに燃えないのだ。

 それだけ不自然な空気の状態になる訳だから、必ず必要になるのが「計画換気」。

 これは、健康の為に最低限必要な換気が確実に出来るようにするってことで、

 「高気密住宅」には必ず必要なもの。言い換えれば「計画的すきま風」である。

 すきま風を最低限の量まで少なくすることで、エネルギー効率を上げるって理屈。

 つまり「高気密住宅」は完全に換気扇に依存する住宅ってことである。

 

 法律で24時間換気扇の設置が義務となってから、換気扇は廻りっぱなしということになったわけだが

 それがどういうことか、ということをどの会社も、国土交通省も説明していない。

 なんたって回しっぱなしなんだから、換気扇にホコリがたまる早さは半端じゃない。

 換気扇の掃除を頻繁にするのは絶対条件になるし、換気扇の寿命だって短くなる。

 壊れていることに気付かないなんてモッテノホカ。

 

 性能の高い建て方であればあるほど、建てる人間にも住む人間にも知識や心構えが不可欠になる。

 高性能はハイリスク・ハイリターンであることは知っておいた方が良い。

 軽自動車とレーシングカーの運転のしやすさの差みたいなモノで、ハイテクになればなるほど、

 理屈をちゃんと知っておかなければいけないし、それをコントロールするには腕前が要る。

 人気がある言葉だからとか、何となく良さそうってな意識では売るのも買うのも少々怖いデスヨ。

 

断熱材の幻想
専門家=門外漢