何度も、数字だけを重視しても良い家は出来ない、とブツブツ言っているが、

 これがまた、上手く説明するのが、もっとも難しいこと。

 だが、このことを言っているケンチクカさんは、星の数ほど。

 右脳で感じる空間の魅力に取り憑かれた設計屋は、口にはしなくても、

 全員思っていると言っても過言ではあるまい。

 とは言うモノの、それが上手く説明できないからこそ、

 世間の皆様に、設計屋の存在意義が伝わっていないワケで。

 改めて、それに挑戦してみたい。

 

 数字というものは、誰が作っても出来る、つまりは金で買えるモノにしか過ぎない。

 だから「あのメーカーさんは、○○性能が△△だって。

     それに比べて、この工務店さんは□□性能だから、ウンヌン」

 というような考え方は、設計屋から見ると、かなり妙である。

 やる気のない造り手は別として、メーカーさんであろうが、工務店さんであろうが、設計屋であろうが、

 今、一般的に言われている数字をクリアすることなど、朝飯前である。

 性能の高いモノは、値段も高いという大原則があるだけの話で、金さえ出せば、誰でも買える(作れる)モノ。

 マニュアル大国である日本では、数字というのはそういうことだ。

 

 でも、誰もがどこかで感じたことのある「良いなぁ・・・」は、数字じゃないはず。

 そして、持ち主がそのモノを大切にするのは、この「良いなぁ・・・」があるからこそ、である。

 金があるだけでは手に入れられない「良いなあ・・・」。

 設計屋は、この「良いなぁ・・・」を大切にしたいだけの人種なのだ。

 

 何度も言うが、決して数字が無意味と言いたいワケではない。

 それどころか、設計屋は、大切だからこそ大切にする事の理由から、

 ちゃんと考えましょうって言っているだけのこと。

 数字を大切にしながらも、それだけでは表せない良さを追求しているトップランナーが設計屋である。

 

 サテ、ツタワルデショウカ。

 

アピール力
プロの裏顔