理屈っぽいと言われる。

 建築業界以外のヒトに「設計屋さんは、理屈っぽいヒトが多いですよ」と言われた事があるので、

 個人的な特性では無いらしい。

 そういう特性の人間が設計屋になりやすいのかもしれないが。

 

 設計屋は理屈を駆使すべきイキモノだと思う。

 設計は、建て主さんの多大な費用を使って家を考える仕事。

 説明のつかない「なんとなく」だけで提案するのは、建て主さんに対して失礼な話。

 だから、ちゃんと説明できるようにスジを通して、家と言うのを考える。

 このスジがいわゆる理屈だ。

 実物を作って、満足してもらえればお金を貰う、なんて事が出来るのであれば、

 「なんとなく」で良いのだが、そうはいかないのだから、

 知識と知恵を駆使してスジを通し、建て主さんに満足して貰える家を目指すワケ。

 理屈の通った説明が出来ないのは、マニュアル人間か、スジの通った提案が出来ていないかだ。

 

 その次に問題になるのが、伝え方。

 いわゆる話術の一つだが、解りやすく理屈っぽく聞こえないように伝えるのも仕事の内。

 それはその通りで、もちろん、どの設計屋もその努力をするのだが、

 これが昨今の消費者保護の問題から難しくなりつつある。

 

 理由は、解りやすい言葉は、解釈の巾が広いということ。

 つまりは「○○○です」って説明が、「×××だ」とも「△△△だ」とも聞き取れることが多い。

 現実に起こっている揉め事のパターンの一つがこれ。

 施工者や設計屋は、「ちゃんと説明したでしょう」という。

 建て主さんは「そんな風には聞こえなかった」という。

 で、今の社会は基本的に消費者保護なワケで、

 プロサイドの説明の仕方が悪いとなり、無償で対処ってことになる。

 そういう誤解が出ないように、より正確に伝えようとすると、

 どうしても言葉の数が多くなり理屈っぽくなる。

 

 という時代だから、設計屋も努力をしますけん、多少理屈っぽいのも真摯な態度の表れ、

 と暖かい目で見ていただくワケにはいかんでしょうか。

 

こんぷら(後編)
門前小僧