「安全」の根拠が違うとは、「安全とは○○以上の性能があること」の「○○」が違うか、

 「○○の性能は、××の方法で証明すること」の××が違うということ。

 

 日本の役所は、なにか問題が起きるまでは、ほうっておくのが通例。

 逆に言うと、今のところは問題になってないってことで、

 つまりは現実のユーザーの要求に対して法律の方が現実に即してない、ということだ。

 役所はそれを知っていながら法律を変えようと思うと大変だから、

 見て見ぬふりをして世間の皆様に法律を破って貰おう、という判断をしているのだし、

 メーカーも知っていて、それに乗っかっている。

 施工会社は、世間に大量に建っているモノと同じモノ作るのに、なんの抵抗感もないし、

 設計屋は、法律にマッチさせてカッチョいいのを造りたいのだが、

 法律にマッチさせるだけでコストが跳ね上がるから、建て主さんに無理を言う訳にもいかず、

 実情だけ説明して、確認申請には入れずに、後で勝手に作って貰うという手段を取ることになる。

 

 つまりは、役所もメーカーも施工者も設計屋も建て主さんも、

 大切なのは重箱の隅をつつくようなコンプライアンスではなく、

 現実に問題が起こるかどうかである、と考えているってこと。

 もちろん、建て主さんだけは、工事を依頼した相手がちゃんと説明していなかったら別だが、

 新築時に一緒に作ろうとする場合以外は、そんな説明しないだろうなぁ。

 

 ちなみに、カーポートだけ作る場合でも、確認申請は必要なはず。

 ついでに言うと、仮に確認申請がいらなかったとしても、法律を守らなくてよいということではない。

 閑話休題。

 

 ともあれ、こういう現実は建築業界だけではないと思うのだが、だからこそ、何か問題が起こる度に、

 アタマを下げながら「コンプライアンスを徹底し」と言うのに、どうも違和感があるのだ。

 まあ、そうでも言わないと納まらないだろうし、

 そのポーズの取り方自体も本音と建て前社会なりの対応なんだろうが。

 

 これから日本が、本音と建て前社会のままでいくのか、

 本気でこんぷら社会を目指すのかは、知るよしもない。

 仮に、こんぷら社会を徹底するのであれば、日本中の既製品カーポートに改善命令が出ることになるが、

 まあそんな勇気は日本の役所には無いでしょうな。

 

こんぷら(前編)
理屈っぽい