建築関係に限らず何か問題が起きると、

 マスコミはこぞって「『専門家』が『法律』を守らないなんて!!」と当然のように叩きまくる。

 で、偉いさんが記者会見でアタマを下げながら

 何故か横文字で「コンプライアンス」という言葉を吐きまくるという光景もかなり見飽きた感。

 

 さて、この法令遵守。意外と、この姿勢に不満を持つのが建て主ってことも珍しくない。

 希望の材料が使えないとか、金が掛かるとか、理由は様々だが。

 極端な場合は、なんでそんな法律に従わなきゃいかんのか?ってことになって、

 法律を無視して建ててくれる相手を探すようである。

 

 以前、某講演会のパネラーとして実際に家を建てた方が出ておられて、

 「最初に訪れた設計事務所は、要望に対して『法律上、それは出来ません』と言ったので断った」

 と、壇上で話されるのを聞いて愕然としたことがある。

 建て主は、その部分の研究に携わっておられて、

 「安全上、法律の方が間違っている」との信念を持っておられた方で、

 つまりは単なるワガママって訳ではなかった。

 とはいえ、その信念を受け止め、法律を破った設計屋が居る訳で。

 その設計屋、まさかオオヤケの場で、「あの設計屋は法律を破ってくれます」と、

 発表されるとは夢にも思ってなかっただろうに。

 その事務所さんの姿勢を、どう評価するかはお任せするが、

 世間の建前上は越えてはいけない一線を、その仕事で食っている人間に越えさせている、

 ということは、忘れて欲しくないものだ。

 

 この話は極端な実例としても、たとえば、多くの家が道路際に建てておられ、

 何故か日本の街並みを形成しているのが実情のカーポート(の屋根)。

 このカーポート、法律上の扱いは建築物。

 つまりは建築の法律に従わなきゃいけないのであるが、大半は違法らしい。

 建築の法律を守ろうとすると値段が高くなるのが理由、と想像しているのだが、

 聞くところによると「安全」の根拠が建築の法律とは違うところにあるとのこと。

 設計屋が法律にマッチする屋根を造ると、あんな細い材料では、とてもトテモ。

 

 後半に続く・・・

 

センモンカ
こんぷら(後編)