脱線ついでにもう一話。

 これも最近気になって仕方のないこと。

 時事ネタは書かないつもりだったのだが、まあ、ついでということで。

 

 すっかり世間の喉元を過ぎ去って忘れられた間のある姉歯元建築士による耐震偽装問題だが、

 各地で起こされた行政を相手にした裁判の結果が出始めている。

 基本的には検査サイドには罪はないという流れが出来つつある感じ。

 名古屋地裁では行政の責任を認め賠償を命じたが、名古屋高裁でひっくり返された。

 根拠のない素人感覚だが、おそらく最終的には、

 全て行政に賠償をしなければならないような落ち度はない、ということになると思う。

 つまりは、構造計算書の改ざんを見逃したことは、

 法的責任を問われるようなことではない、ということだ。

 

 ここで、思い起こして欲しい。

 耐震偽装が発覚したときのことを。

 告発した民間の検査機関イーホームズは、国会に証人喚問され、

 世間の面前で建築のド素人たる国会議員になじられ、

 挙げ句の果てに、社会的に抹殺(検査機関の指定取り消し)されたのである。

 表面上は、別の理由が挙げられているが、搦め手にしか見えない。

 偽装した張本人ではなく、第三者からの指摘とはいえ、黙殺してはいけないと告発した本人が、である。

 同様に見逃した検査機関は行政・民間を問わずにあったにも関わらず、

 そして、司法の場で有罪ではないと判断されつつあることしかしていないのにも関わらず。

 

 この結果、他の検査機関が考えることは、当然『言い出しっぺだけが潰される』。

 残るのは、この現実だけなのだ。

 こんなことをしていたら、同様の問題が出たときに第二の告発者が現れる訳がない。

 

 冷静な対処ではなく、世間受けすることを優先した国会議員が悪いのか、

 国会議員の圧力で指定取り消しをした国土交通省が悪いのか、

 劇場的なプレゼンテーションを無責任に喜ぶ国民が悪いのか・・・

 

 どこか狂っていると思うのは、私だけなのかしらん。

 

未来は・・・
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