「塩タン」の趣旨とは違うのだが、最近気になって仕方がないので、ちょいと脱線。
少々長めですみません。
耐震偽装事件を契機に法律が改正され、それが建築業界の大不況の一旦となって
「官製不況」とまで言われたのは、ニュースを見ている方ならご存じと思う。
なにが不況を招くほどの混乱を引き起こしたのかというと、
どの建物でも基本的には行わなければいけない確認申請に、手間と時間がかかるようになったことだ。
たった一人、根性の腐ったヤツがいたという事実が判明しただけで、
100万を超える建築士全員を信用しない!という前提の法改正。
申請書類を作ったのが信用ならない建築士だから厳密にチェックすべしってことである。
検査する組織は、国土交通省から怒られるのが怖くて、
重箱の隅をつつくようなチェックの仕方を始めたものだから、時間も掛かろうというもの。
建築士の作業は何が大変になったかというと、法適合証明である。
法律に則るのはとりあえず良いとして、法律に則っていることを証明するのに手間が激増したのだ。
そして、書類の準備の手間が掛かる建物であればあるほど、
確認申請をクリアするのに時間が掛かるようになった。
その結果が、「お施主さんの要望からすると、こんなプランが望ましいのだが、
確認申請に手間と費用が掛かるから、提案するのは止めよう」である。
建て主を守る為のハズの法改正が、建て主の夢を阻害する要因になっているのだ。
書類じゃなく、ちゃんと建築にエネルギーを使わせてくれ〜!!と、ぶち切れながら世間を見れば、
似たような話があちこちにあるようだ。
お医者さん曰く、「患者と向き合う時間が無い」
学校の先生曰く、「生徒と向き合う時間が無い」
治療や教育に直接関係ない事務作業で忙殺され、本業の時間が無いということらしい。
その事務作業の1つ1つは、ちゃんと目的があるのだろうが、その積み重ねの挙げ句がこの有様。
一体どうなってるんだ、日本は。
患者や生徒、建て主を守る為の対策なのだろうが、全体的な視野を持たずに、
場当たり的な対策に終始するから、こんなことになる。
医療現場での「ヒヤリ・ハット」を無くす為の対策で、お医者さんが気力体力を使い果たし、
そのせいで「ヒヤリ・ハット」が増えたら、笑い話にもならない。
ちなみに、確認申請をスムーズにしようとする国土交通省の対策は、
消費者団体だか、その弁護士だかにツブされたようです。
建て主の夢を阻害し、建築士の志を挫き、建築文化をぶっ潰してまで一体何を守りたいのだろうか?
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