住まうということにとって、意外と忘れがちでありながら、

 風通しや使い勝手に匹敵するぐらい大切な存在が、ご近所さんである。

 いわゆる「向こう三軒両隣」で、お隣さんがいい人かどうか、仲良くできるかどうかは、

 気持ちよく住まうのに大きな影響があるのだ。

 ご近所さんというのは、持ち家だと簡単にはいかないが、

 賃貸だと引っ越す理由になるぐらいの存在である。

 

 家づくりの問題ではないではないか、と思われるかもしれないが、サニアラズ。

 家づくりでも、ご近所に配慮すべきことはある。

 その配慮で仲良くできるかどうかが決まるわけではないが、

 もめ事の元にならないように気を遣う事は出来るのだ。

 そして、その配慮は家づくりに慣れない建て主に任せるのは酷なことであり、

 業界の人間が提案・助言してしかるべきことだと思うのだが、

 ほんの少しの気遣いすら見られない家をたくさん見ていると、

 建て主の言ったこと「だけ」に対応する業界のみっともない姿が見えてくる。

 

 戸建て住宅で、一番解りやすいのがエアコンの室外機である。

 エアコンの室外機からは、当然生ぬるくて気色悪い風が吹き出すのは皆さんご存じのことと思うが、

 その風がお隣に吹き付けることを考えずに置かれているケースが珍しくない。

 私も設計させて頂いたYさんの家の隣が、全国大手のハウスメーカーさんだったが、

 Yさんの玄関に向かって風が吹き付ける場所にでかい室外機を置かれてしまった。

 こちらはプライバシーの問題でお互いに気を遣わなくても済むように窓の位置まで配慮しているのに、

 たかだか数mずらせば済むだけの配慮すらしてくれなかったのである。

 仮に3mずらしたところで費用は1万円もしないような話なのだから、

 それぐらいの負担、良き近隣関係の為に使っても建て主は怒らないはず。

 

 「建て主の要望に応える=建て主の要望にしか応えない」って作り方を

 全国大手ですらしているってのも哀しい話。

 そして自分だけが満足すればって考え方が、

 自分の快適な生活を脅かす場合もあるってことは知っておくべき話。

 

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