設計屋だろうが、ハウスメーカーだろうが、大工さんだろうが、どのような家造りをするヒトなのか、

 というのを知る方法として、実例、つまりは実際に出来た建物を見る、というのがある。

 メーカーさんの場合はモデルハウスだし、設計屋や大工さんなら、今までに建てさせて頂いた家ってことになる。

 そうやって、実際の家造りの結果を見ることは、色々なことが解るので大いに足を運んで頂きたいのだが・・・

 

 メーカーさんのモデルハウスと、大工さんや設計屋の過去の実作では、

 根本的に違うところがあるって事は憶えておいて頂きたい。

 何が違うかというと、お施主さん、つまり「住まい手」がいるかどうかってことである。

 これは、その建物で見るべき事が違うということを意味する。

 

 大工さんや設計屋の実作は、その家の住まい手がいて、その住まい手の考え方や条件、

 また、それを踏まえた設計サイドの提案や、何度も行う打ち合わせの結果、出来上がっているモノ。

 であるにも関わらず、「こんなキッチンを設計するヒトはイヤ」とか「こんな階段を造るヒトはイヤ」という、

 まるでぶら下がりの服を選んでいるような見方をするのは筋違い。

 

 メーカーさんのモデルハウスは見学者の為に作っているモノだから、それで良いのかも知れないが、

 住まい手のいる建物では、全く見誤ることになる。

 見るべきは、住まい手の要望や敷地条件を踏まえた上での提案力、

 また、その結果としての(良いところも不満なところも含めての)住まい手の満足度であろう。

 

 ついでにいうと、住まい手もいなければ、敷地の広さも建物の広さも現実離れしたモデルハウスでは、

 そういうことは解らないってことでもある。

 どちらにしても一長一短。

 「実例」は、そういうことを踏まえて見るものですよ。

 

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