自分が設計屋なものだから、強力な対抗馬のネタが多くなってしまう。

 これじゃイカンと設計屋の話。

 設計屋が完全無欠かというと、完全無欠などというものは世の中に存在しないってな屁理屈になるのだが・・・。

 

 設計屋は基本が個人だから、考え方がテンデバラバラ。

 根本的に、「住宅の設計が好き」なヒトもいれば、「住宅なんか・・・」ってな設計屋もいるし、

 同じ「住宅設計が好き」な設計屋でも、考え方は千差万別。それが実情である。

 

 弁護士が登場するテレビ番組が多々あるが、

 同じ事件でも弁護士ごとに判断が違うって事を見ておられることだろうと思う。

 六法全書を始めとした大量の法律や過去の判例に基づいて判断されるべき事件の解釈ですら、

 「弁護士」という個人毎に判断・解釈が違うのだから、

 お施主さんに基づいて判断していく「設計屋」の提案する答えがバラバラになるのは推して知るべし。

 医師だって、先生毎に治療方法がちがうでしょう。

 

 一般の方々から見たら、バラバラって何が違うの?と思われるだろう。

 このアタリが「建築の難しさ・複雑さ」なのだ。普通に家を考えても、見るポイントはいくつもある。

 簡単に考えても、構造・仕上げ・間取り・風通し・デザイン・収納の多さ・部屋の広さ・断熱性能と、

 普通の人でもこれくらいは挙がるだろう。

 反面、当然の事ながらコストや敷地の広さという制限のあるなかで、それぞれを振り分ける事になるのだが、

 その振り分け方からして設計屋ごとに違う。

 

 その上、なまじ好きなモンだから、主義主張もあれば信念も半端じゃない。

 何度も言うが、板前さんと同じである。

 自分が「美味い」と思えないような料理は、恥ずかしくてお施主さんに出せない。

 だからこそ、設計屋も造る料理(家・考え方)が自分の舌にあいそうかどうかを、

 しっかりと見極める必要があるのですよ。

 

形から・・・
実例の見方