一般の方々の評価、つまりは褒め言葉に耳を傾けていると、

 「天井が高くていいねえ!」「広くていいねえ!」という感じが多い。

 しかし、「高い」とか「広い」というのは、設計の目的ではない。

 目的はあくまで「快適な家」にすること。

 つまり褒め言葉を頂くのは、「目的」ではなく、「目的達成の為の手段」の部分であることが多いのである。

 

 もちろん天井が高いのは気持ちがよいことが多いし、広くて快適な家もたくさんある。

 だが、そんなことだけで良い家が出来るのであれば、設計屋などいらない。

 これらは快適さを得る為の一つの方法でしかないし、さらに言うと、天井が高けりゃ良いってものではない。

 天井が低くても、狭くても気持ちよいと感じる家はあるし、逆に天井が高いだけでしかない家もあるのだ。

 極端な例を挙げると、茶室のような良さもあるのだし、ドラえもん氏は押入の中で寝ているでしょ。

 

 快適さというのは多種多様。

 木材の持つ雰囲気を使った快適さもあるし、ギャラリーのような適度な緊張感のある快適さもある。

 コンクリートの重厚感や、茶室のような静謐さもしかり。

 冬場は炬燵にミカンというのもあれば、毎晩嫁さんとホームバーでカクテルって快適さもあるってことである。

 

 建て主に感じて欲しいのは、どこかで見た「快適さの為の手段」ではなく、

 その「手段」を駆使した結果が快適になっているかどうか、であり、その設計屋の腕前を計るのはそこである。

 

 建て主の要望や条件を眺めると、高い天井には出来ないこともあるし、広い部屋に出来ないこともある。

 そんなときは、「高い天井」や「広い部屋」とは違う「快適な家にする為の方法」を考えるのが、設計屋の仕事。

 灰色のノ〜ミソを使ってアイデアを絞り出せというのが建て主の要望で良いのですよ。

 

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