何事も二者択一なら楽である。

 しかし現実には二者択一などほとんど無く、さらに難しいのは、選択基準をどうするか、である。

 と書くと少々ややこしいが、なんのことはない。

 つまりは、二つを並べて、どちらが高性能か?と言う質問には答えやすいって事。

 耐震性能であろうが、断熱性能であろうが同じである。

 

 ところがどっこい(死語)、現実には、あれもこれも勘案して検討しなければならないのだから、

 簡単に答えの出るモノなどほとんどないのが実情。

 専門家に尋ねて、あっさり答えが返ってくる場合は、その専門家が必死こいて自分なりの答えを出したか、

 多面的な検証もせず、様々な材料や工法を知らず、

 「いつもこれでやってる」というだけで答えているかのどちらかである。

 

 最近の建て主は、昔と違って依頼先に任せきりにせず、自分で色々勉強される方が多い。

 このこと自体はとても良いことだと思うが、いかんせん付け焼き刃。

 例えば構造の話だと、二つの工法でどちらが強いかは解りやすいが、

 考えている間取りに、どれだけの強さが必要かって話になると、まず解らない。

 設計屋自身が一番悩むところなのであって、一般の方々が簡単に解ってしまうなら、技術屋は要らない。

 

 プロの選択基準は、「10」の力が掛かるところには、少しゆとりを見て「12」ぐらいの強さが適切、である。

 ところが、そういう視点が無いと、「100」の強さの工法が「まあ!安心!!」となってしまう。

 「10」に対して「100」を選ぶのは、使いもしない性能に費用を使うってコト、と思うのだが、

 「無駄のない判断」より、「100の安心」が売れる、という理由で世間が動いている気がしてならない。

 

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ハイテク省エネ