建物に関する法律は、「良い建物」を造る為にあるのではない。
「悪い建物」を造らせない為にあるのだ。
この二つを「同じことじゃないの?」と思うヒトがいるかもしれないが、
残念ながら似て非なるものである。
少々哲学的だが、世の中にある全ての建物は、「良い建物」と「悪い建物」の間に存在する。
そして完全悪の建物も、完全良のもない。
法律が言う「悪い」というのは、世の中の多数派の事情に合わせ、
霞ヶ関が決めた社会的ルールに合ってないって事にしか過ぎないもので、
日本国民全員にとって「悪い」とは限らないもの。
法律には合っていなくても、誰にも迷惑を掛けず、住まい手も満足し、
文化的にも重要な建物ってのがあることを考えれば解ることである。
法律は現在の実情を見ると必要なものだと思う。
それは良いのだが、いかんせん多様な実情を文章ごときでしばるものだから、
「より良い建物」を造ろうとする時に、理解不能な法律にいらだちを憶えるのは、
マジメに「より良い建物」を造る為に努力している全員に共通すること。
法律を作る立場を推察すると、ベラボーに大変なことだと思う。
専門知識も無いくせに、選挙の票ばかり気にする議員さんに配慮し、
小難しいことを延々述べる建築学会のお偉方に配慮し、
日本経済を支える大企業に配慮した上で、
設計なんかしたことが無く造る現場を見たこともないない官僚が、
矛盾なく説明できる法律を考えなければいけないのだから、想像しただけで目眩がする。
その苦労には尊敬の念を憶えるが、「悪い建物」を造らせない為の法律が、
「より良い建物」の足を引っ張っては、日本の建物は良くなっていかない。
申し訳ないが、もう少しがんばって、足を引っ張らない法律の造り方を編み出して欲しいわけ。
法律:2
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材料
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