残念なことだが、住宅の業界は「クレーム産業」と呼ばれている。

 これは他の建物よりはるかにクレームが多く、その対応に莫大な手間と費用が掛かる分野ってこと。

 確かにタチの悪い業者が横行している話が絶えず、そんな業者に対して泣き寝入りしないのは大切なこと。

 そこまでは良いのだが、最近は度を超えた話を聞くことが増えた。

 

 クレームの原因は説明不足が多かったようだし、業界全体が反省すべき点も多々あるのだが、

 最近は説明自体に限界があるって事になってきた。

 例えば木材なら、割れや反りの可能性を説明するのだが、

 実際に木材が反った時に「こんなに反るとは思わなかった!!」というお叱りになることもあるわけ。

 どれほど事前に説明していても、出来たモノが気に入らなければ無償で直させられるって状態である。

 

 その結果として、文句の出にくい材料や計画しか提案しないってことになっている。

 しかも「長い目で見て」ではなく、「無償で手直ししなければいけない期間だけ」。

 つまり、プロが自分の家を建てる時には喜んで使う材料もお施主さんには提案しない、ってことである。

 こんな状態が建て主にとって良い状態である訳はない。

 

 もちろん手抜き工事や、タチの悪い業者は徹底的に責任追及すべきである。

 しかし、素材の特性や現代の技術の限界まで同じように文句を言うと、

 誰も良い家を造る為の提案などしなくなる。

 その見極めは難題だが、それを間違えるとどこに頼もうが同じような家しか出来ない世の中になってしまう。

 なにか良い方法はないものだろうか。

 

法律:1
法律:2