家を建てるためのレシピには、大項目が二つある。
一つは当然ながら、実際に「建てる」という項目。
なんのことはない、職人さんが汗水流して作り上げていくってこと。
そして、なかなか大切さに気付いて貰えないのが、もう一つの「考える」という項目である。
家に限らずどんなものだって、この二つがあって初めて完成する。
パソコンであろうが、テーブルであろうが、掃除機であろうが、
身の回りのもの全て、作る前に四苦八苦して考えているヒトがいるのである。
ところが「考える」という作業、普段見掛けるものではない。
そのせいか「考える」ということの重要性が大半のヒトにはピンと来ないようだ。
耐震性や断熱性のみならず、使い勝手や風通し・収納・外観etc、建物にまつわる全てのことは、
この二つの項目、「考える」ことと「作る」ことの二つを経て、初めて出来上がるのである。
つまりは、どちらかが悪ければ良い建物にはならない。
風通しの悪い計画は、一流の大工さんが作ったって風は通らないし、
逆に素晴らしいアイデアを考えても、職人さんの腕が悪ければちゃんとした仕上がりにはならない。
ここで、質問。オーダーメイドってヤツ、したことありますか?
散々考えてみたのだが、私のような庶民は、ほぼ体験することがない。
服であろうが食べ物であろうが日用品であろうが、全てぶら下がりで、並んでいるものから選ぶだけ。
つまり『選ぶ』ということしかやったことがないのである。
唯一気がついたのは散髪だが、それすら雑誌を見て「こんな感じで・・・」って「選ぶ」でしょ。
ところが、家を手に入れる場合だと、建売か中古、つまり既に出来上がっているものを選ぶ場合以外は、
大工さんでも、メーカーさんでも、もちろん設計事務所でも、オーダーメイドには違いない。
さて、やったことのないオーダーメイド、「選ぶ」のではなく「考える」ことをしなくちゃいけない。
頼む先を選ぶということは、一緒に考えてくれる相手を選ぶってことですよ。