デザイン!デザイン!とバカみたいに言っているが、

 住宅の基本は、なんといってもプラン、いわゆる間取りである。

 大学で学んだ時には、「絶対に形から入ってはいかん!動線計画が大切なんや!!」と言われたもの。

 

 動線計画とは、ヒトの動きのこと。どこで服を脱いで、洗濯機はどこに置き、どこに干すのか、とか、

 冷蔵庫からものを出して、料理を造り、片付けをして、生ゴミはどこに置いておくか、といった、

 暮らしの中で、一番大切なことである。

 語弊があるかも知れないが、必要以上に広い部屋を作るより、

 こういった、ごく日常的な作業の事を大切に計画する方が、暮らしやすかったりする場合もある。

 

 建て主の要望、それと並列に構造、法律、設備を踏まえ、一つの間取りを考えるのだが、

 プランにも、やはり「美しいプラン」というのがある。

 「美しい」との言い方になってしまうのだが、これは見た目の問題ではない。

 美しいプランってのは、構造的に理にかなっていて、

 動線や限られた広さの有効利用に無駄がない間取りである。

 無駄がないってことは、コストを抑える方法の一つだし、合理的な構造ってのも、同じく。

 同じ耐震性能にするのに、美しくないプランは、無駄が出やすい傾向にある。

 

 言葉は「美しい」でも「合理的」でも「無駄のない」でも「豊かな」でも良いのだが、

 良いプランにまとめ上げるのが、設計屋のもっとも重要な仕事の一つ。

 腕の見せ所である。

 例えば、建て主の要望は満たしているものの、構造が好ましくないプランってのは、プロとして許せない。

 で、両方を満たす努力をするからテマもヒマも掛かるってワケ。

 最近は、プランを作るパソコンソフトがあるらしいが、安いソフトで出来るほど、

 良いプランってのは簡単じゃないのですよ。

 

知らぬが花?
要望と設計