建築家はよく「空間」という言葉を使う。不肖、恥ずかしながら、私も使う。

 さて、この「空間」という表現が出ると、一般の方々との間の活断層が、

 ガラガラと活動して、底なしのクレパスが現れることになるようである。

 で、「空間」の解説をしようってワケ。

 

 いきなりではあるが、建築家の仕事は、「空間」を造る事である。

 どの建築家も、快適な家を造りたいのは、みな同じ。そして、家は、その中で過ごすもの。

 家の中ってことは、床・壁・天井・窓・建具・照明などで、囲まれた「空気」の中ってこと。

 壁の中でも床の中でもないのだ。・・・押入の中は、時々快適だが。

 ついでに言うと、その「空気」には、風や温湿度・明るさ・ニオイなんてのも含まれる。

 

 ヒトが過ごすのは、空気の中なのだから、快適にしたいのは、その「空気」。

 例えば、天井の素材や色が変われば、広さや明るさといった感覚的な変化から、

 音や光の反射といった物理的な変化もあるわけだが、すべて「空気」が変化しているワケ。

 で、「空気」が変化すると、感じるヒトの感覚も変わるのは当然。

 

 だから、建築家の仕事は、壁を造ることでも天井を造ることでもなく、

 「それらに囲まれた空気」を造ることなのである。

 広けりゃ良いってもんじゃないし、大きな窓があれば必ず快適ってわけでもない。

 ましてや、食洗器がついているかどうかなど、部屋の快適さには何の関係もない。

 

 建築家が四苦八苦して考え出す、部屋の形を作り出す全ての存在(壁や天井ね)の

 合計として現れるスペース(=「それらに囲まれた空気」)を表す言葉として「空間」と呼んでいるのだ。

 なに、少々カッコつけてるだけで、大したことは言っていないってこと。

 

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