我ら設計屋は、世間では「設計士」か「建築家」と呼ばれる。

 「設計士」と「建築家」は、何が違うのか、ってのがテーマ。

 言葉などと言うモノは最終的には個人的な定義でしかないから、

 それを論じても仕方のない部分もあるが、そう言ってしまうと話は終わってしまう。

 ということで、恣意的な意見ではあるが、この二つの違いを考えてみたい。

 

 設計屋に限らず、職人さんもメーカーさんも、マジメなヒトであれば、

 建て主さんに喜んで貰いたいのは同じである。

 ところが一部の設計屋は、喜んで貰いたいのは当然だが、それだけでは・・・、と考えている。

 建て主に喜んでもらうのは、ご希望通りにすれば良いのだから、それほど難しくない。

 失礼ではあるが、所詮素人さんのご意見である。

 過去に例がないような卓抜なご希望が出てくるものではない。

 常識的な要望が大半だし、常識で出来なければ、出来ませんと言ってしまえばよいのだが、

 それではプロとしては少々面白くない、と考える連中である。

 

 カッコつけた言い方をすると、建築家というのは未来を作る連中の事だ。

 現在、一般的になったモノで建築家が考えたモノは少なくない。

 

 例えば、「対面キッチン」。

 昨今の分譲住宅やマンションでは、「住まい手はそんなに没個性か?」と

 言いたくなるぐらいに標準化しているが、考え出したのは建築家である。

 未来を作るというと、建て主を無視するのか?との誤解を受けそうだが、そうじゃない。

 単に、一般的な造り方と設計条件、つまり建て主の要望や敷地の条件なんかがマッチしない時に、

 抵抗感なく(苦労はするが)新しいものを考えるってこと。

 そうして出てくるアイデアの中から、未来に残っていくモノが出てくるのだ。

 皆さんが今憧れている商品は、建築家とその姿勢を理解して下さった建て主さんのおかげであるのだから、

 皆さんも未来の人々の為に役立ちませんか? 

 

化学物質の悲劇
絶対!!