独立して以来、何度もこの言葉を言われたが、これが結構不思議であった。
設計屋でも100円ショップに行けば、ちゃんと消費税込み105円で売ってくれる。
家を建てる時の材料だって、同じように店で買うもの。
なんで「高く付く」というイメージが定着しているのか、不思議だったのである。
で、長年の考察・研究の結果、どうも理由は二つあるような気がする。
長年の研究の結果が「気がする」程度なのだから、設計屋も大したことない。
一つは、設計事務所が出来た当初の客層である。
戦後、最初に設計事務所に頼んだお客は、自分の会社のビルヂングを建てようとしたら
設計事務所が必要というのを初めて知り、ついでに自分の家も、と考えたお金持ち。
お金持ちに「100万円/坪の家を建ててくれ」と頼まれて、
「60万円/坪の方が良いですよ」などという設計屋はいない訳で、予算をめいっぱい使って家を造ってきた。
つまり設計事務所だから高いのではなく、お金持ちのお客さんだったから高級な家を造ってきたってこと。
二つ目は、戦後の家の質である。
最初は、ともかく雨風を防げる家を造ることが目的。
そこから少しでも豊かな生活を送る為に建物の質を上げることに腐心してきたのが設計事務所。
設計屋が、その時代の一般的な造り方より、良い家を提案してきたからこそ、現在の質に達したのであるが、
各時代の相場より少々高く付くのは当然のこと。
どうもこの二つが、「設計事務所=高い」というイメージを作ってきたのではなかろうか。
現代になってローコストってのも設計屋にとって重要なテーマになった。
魔法使いではないので、値段なりの作りにはなるが、コストを抑える工夫はあれこれあるもの。
その工夫を、お施主さんが認めてくれるかどうか、がネックなのだが。
同じ値段でも、メーカーさんや大工さんには出来ない工夫やデザインは出来るものである。
アイデアやセンスの違いでどのくらい変わるか知って欲しいのだ。
専門家=門外漢
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