マニュアル人間の増加に警鐘を鳴らしていたのはいつ頃だったか。あの警鐘は、役に立ったのだろうか。

 大学で教鞭を執っている友人に聞くと、マニュアル学生は、年々増えているとのこと。

 問題を解ける学生はいるのだが、問題点を自分で見つけ出せる学生が減っているらしい。

 

 家造りもマニュアル化の一途を辿っている気がしてならない。

 マニュアルがあることは良いと思うが、その内容から外れるモノは、すべてダメというのはよろしくない。

 マニュアル化の問題は、程度の低い人間(建物・職人・設計屋)は減るが、

 優れた人間(建物・職人・設計屋)も減らす、ということ。

 

 マニュアルは役に立つものだが完璧ではない。

 条件によっては全く無意味な内容もあるし、最新の情報は反映されていない。

 今どき日本でそんなことしている現場など一つも無いだろう、と思えるような古い内容だってあることも。

 ちゃんと勉強すると、そういうことが見えてくるのだ。

 

 家造りは千変万化。

 建て主ごとに、敷地が違うし、予算が違う、感じ方・考え方は多種多様、優先順位も違うし、

 クセが違う、利き腕ちが〜う〜♪

 と、往年の名曲みたいになってしまったが、その違いに丁寧に答えていくのが家造り。

 マニュアルで全て対処出来るほど簡単なモノではないし、

 だからこそ、それぞれの条件ごとに臨機応変の判断をするのが建築士の仕事の一つのハズ。

 

 専門的なことが解らない一般の方々からみると、目安となるマニュアルがあると安心感が持てるのは解るし、

 時々ニュースになる、意識の低い業者の事件を聞くと、

 「建築士の能力」より「マニュアル」となるのも仕方がないかと意気消沈するのだが。

 しかしながら、マニュアル化がこのまま「当たり前」の事になってしまうと、

 マジメな設計屋はいなくなり、職人さんの腕前は下がり続けて、

 臨機応変の対処が出来ない○クドナルドの店員さんみたいな家造りだけになってしまうのは間違いない。

 

建築家の特徴.2
逆らえない